オープンソースという世界
オープンソースについて個人的に感じたことを述べてみたい。
オープンソースを一言で言うなら、善意の世界といえよう。フリーで利用できる、ソースを自由に改変できる、バグや改善など報告する、寄付といった善意である。いわゆるボランティアとも言えるかもしれない。開発者とユーザーの間で成り立つものであり、こういったことがなければオープンソースは存在しないだろうと思う。また、善意ではなく自己責任の世界でもある。
オープンソースをたまに勘違いしておられる方がおられる。たとえば、フリーだから無責任、品質が悪い、サポートがないなどといったことである。有料はよく、無料は悪いというような感覚なのだろうか。実際はそうではなく、開発者たちは日々、上がってくるバグリポートに目をとおし、修正しているのである。また、ソースコードの公開により、複数のユーザーがアプリの改善や機能向上に携わっているのである。LibreOfficeを見ればわかるように品質も有料アプリと同等の品質の高さがある。サポートについては、コミュニティがあり、バグや機能改善などがあれば投稿すればよいだろう。
もちろんすべてのアプリにコミュニティがあるわけではない。そういった場合は開発者に直接コンタクトをとることで解決できるはずである。ただし、多くは海外なので、基本的に英語によるコンタクトだが、現在ではGoogleやDeepLなどの翻訳サイトを利用すれば、英語の壁は取り除けるはずである。実際、僕もあるソフトの問題について、メーカーとコンタクトしたことがある。英語はしゃべれないし、読み書きもできない。やり取りは翻訳サイトを使ったが、結構、通じるものであった。なので、英語ができないからと臆することなく、堂々とコンタクトを撮ってみれば良いと思う。
オープンソースはよいことばかりではない。ユーザーに求められるのは、自己解決能力である。コミュニティへの投稿や開発者とのコンタクト、アプリ利用におけるさまざまな問題などは、すべて自分で解決しなければならない。有料アプリのように電話すればすべて解決というわけにはいかない。アプリによってはインストールしたらすぐに使えるとはいかないものもある。設定を自分の環境に合わせて行わなければ使えない。
最近では、Qt Creatorをソフトウェアの管理からインストールしたが、プロジェクトさえ作成できないということがあった。バージョンの違いにより、qmakeが不正なバージョンとして設定できなかったのである。そのため、アンインストールしてQtの公式サイトからオープンソース版をダウンロードしてインストールしたが、プロジェクトファイルは作成することができたが、簡単にボタンをクリックするとウィンドウを閉じるというコードを書いてコンパイルするとエラーが出た。書いたコードはexit(0);だけである。原因は簡単である。きちんと設定してなかったからである。こういったことは誰も教えてくれないし、検索しても記事が古く、あまり参考にならないことが多かったのだ。いろいろ試行錯誤しなければ解決しないことがあるのである。
オープンソースはフリーだからといって簡単に考えていると、大きな失敗をする。どこかの自治体が、LibreOfficeは無料でコストダウンを図れるといって導入を決めたが、短い期間でMicorosoft Officeにもどした例もある。こういった例は、端的に物事を考えていない表れであろう。反面、成功している事例も多い。もちろん、Microsoft Officeとの併用も取り入れている。しっかりとした検証をしているのであろう。
オープンソースは優しい反面、それ以上の厳しい面があるのである。
そして、オープンソースに携わるすべての人に感謝を述べたい。